義肢担当のおじさんの話だと、コルセットを付けて生活していたら固めてある部分のバネや柔軟性が落ちていくので、体を動かさずして筋肉を動かすという技術を体得し、寝ながら汗だくになるまでそれをやるといいらしい。なんかやたら高度なことを云われてるような気もするけど、とりあえず技術をつけるのはいいとして、コルセットで汗だくになるのは嫌だなあ。でも今日ついにいすに座った状態でシャワーを浴びることができたので、今後は気軽に汗も流せるかもしれない。最初なので介助付きではあったけど、お風呂に入るという体験を取り戻す実感があった。最初から最後まで自分で作業することで、同時に初めてリラックスできたのだとおもう。トイレも同じで、自分ひとりで行くようになって数日たつけど、未だに、毎回、その瞬間、隔離された空間にひとりで座れていることを有り難いとおもう。体を動かすうちに、退院した後のことも具体的に妄想するようになった。退院したらいろいろと生活習慣が変わるだろうから、むしろ積極的にかえてみるとして。畳をぜんぶはがしてフローリングにして、座いすもやめて腰掛けにして、本もレコードも洋服もぜんぶ、自分の腰より高い位置から取るように棚付けする。リハビリのお兄さんに相談してみたら、ゆっくりでも、コルセットの制限のなか節度を持って作業するのであれば、それはとてもいいリハビリになるだろう、とのことだった。午前と午後で一日二回のリハビリを終えたら、そのまま屋上に行って少し涼んでから病室に戻る。場所としての魅力がないのか、寝たきりの人が多いからなのか、屋上ではまだ他の患者と会ったことがない。出来ればこのまま誰にも知られたくない