Malmö

コペンハーゲンの空港に着くとさやさんと植野さんがいて、合流してカールと落ち合ってマルモへ。マルモにはsignalというスペースを運営する小さな組織があって、カールはそのチームの一員。以前日本にリサーチに来たとき、たまたまテニスコと僕の編成のライブをみて、これにいたく感銘をうけてくれたそうで、僕たちのセットをよんでくれた。2年前のフタリ/ダウトフェスティバルでのライブだったらしい

 

3日前に到着して、ライブは今日が初日。13日に同じ会場でもう一回あるのと、きのう急遽決まった飛び入りのイベントがひとつ。日数にくらべてライブの回数が少ないのには理由がある。signalのギャラリースペースは巨大なレストラン/バーと同じフロアに最近引っ越してきたばかりで、ここで新しい試みを開始した。ざっくり説明すると、バーという空間に対してパフォーマンスをどのように働きかけるか、てことなんだけど、パブリックに向かって発信するとか環境に馴染むとかそういう話じゃなくて、違った文脈が併設する環境において、そのどちらにも属さない新しいコミュニケーションの模索のようなことだと僕は理解した

 

今はサッカーの欧州選手権のまっ只中で、ただでさえ街全体が盛り上がって打ち上って大変なことになる土曜の夜に、僕らの最初のライブは設定されていた。これから2日かけて、ライブに向けて入念な準備をして臨もうとカールは言う。出来る限りのことはやろう、けど、、、これまでにさんざんいろんな経験してるから気乗りしない思いもある。レストランやバーに来るお客さんには、当然音楽やパフォーマンスやなんやに関心がなかったり、その場に求めてない人がたくさんいるし、そんなところで自分のやってることを主張したい気持ちなんて微塵もない。カールの熱意と難しいことをやろうとしている自覚がなかったら、こんな話には乗らなかった。間違いなく

 

で、そこからはあーだこーだ言いあって材料の調達だの機材や状況の設定だのやって、当日は朝から現場で仕込んで、ってここらへんはとくに今回書きたいことじゃないので要約するけど、予想される限り最もやりづらいの状況をふまえ、客席の配置から最終的な音の出力系統まで、空間に対する興味を最大限引き出せるよう入念に準備して、本番を迎えるわけです

 

つづく

 

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ちょっと休憩

つづき_

 

結果からいうと、当然やっぱり、思うようにはいかなかった。基本的にどんな状況であれ受け入れたいという気持ちはあるけれど、今日のやりづらさはチョモランマ級だった。テーブルの一区画の集団が発狂したように騒いでいて、はじまる前にアナウンスで呼びかけてもまったくお構いなし、大声で歌ったり叫んだりの大盛り上がり。そんななかで気持ちよくやれるわけがない、、、通常ならば。でも今回の印象は、いつもとはちょっと違ってた

 

まず事前のセッティングの段階でかなり特殊な、ここ以外では成立しないようなセッティングをおこない、音量や光量などでもって場を制圧することを選択しなかった。本番がはじまって、例のクレージーな集団がいるのをわかっても、物量で制圧することはやらなかった。制圧もしないが、迎合もしない。お互いのやってることに神経を集中させ、お互いの音をよくきいて、大味な場における繊細なやりとりをつづけた。終止、現場判断の面白い状況をつくろうと心がけたし、どんどん生まれるテニスコ2人とのアイデアのキャッチボールをつづけた。でも一歩引いてみると、状況は相当カオスだったとおもわれる

 

あれは何だったのか、なぜあんなことする必要があったのか、他に方法があったとすればそれはどういうことだったのか、終わった直後から今でもずっと、まだ3人の議論はつづいています。結果に対して肯定的じゃない意見もポンポン飛び交ってる。でもね、出音自体はときどき騒音に飲まれてしまったかもしれないけど、出来上がったものはすごくかっこいい演奏だったし、全体を貫く姿勢というか、ねっこの部分はお客さんにもちゃんと伝えられた、とおもうな。ここを信じて今までやってきたんだ、てくらい

 

なんか、ライブを始めた頃って、こういうことばっかりだったなあ、とかそんなことまで思い出して。ようは僕にとっては重要な経験たりえるライブだった、てことです

 

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